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奈良の世界遺産散策
2020/07/13

本日は奈良にまつわるお話し。
今年の初め頃、普通はなかなか出会うことのない木との出逢いがきっかけで始まった企画。
ご縁があって今回出逢った「春日大社の木」
木の種類は杉になるのですが、安全や生息の関係でどうしても切らなければいけなくなってしまった木、
なかなか商品としてお作りする事の出来ないその木は、木目の美しさが特徴で
私たちもつい完成したアイテム達を並べてみては楽しくなってしまって
1つ1つの表情、木目の美しさにいつも以上に目移りしております。笑
早くアイテム達の紹介をしたい!と、うずうずした気持ちはまた後日に!
その前に、本日は春日大社の木にまつわる世界遺産のお話しです。
皆さんはご存知でしょうか。
奈良県にいくつかある世界遺産の中に「春日山原始林」というのがあるのを。
「春日大社」は有名ですが「春日山原始林」というものをお恥ずかしながら私は初めて知りました。
1955年に国の天然記念物に。1998年には世界文化遺産として登録されたそうです。
平安時代より春日大社の神域として千年以上もの間守られてきた、今も残る森。
こんな町の近くに?と、思うほど。
そんな場所に今も原生の姿で残される場所。
この企画にあたり、ご縁があって私たちがめぐりあった木が
実際にどんな土地から生まれてきたのか、気になったので行ってきました!
「原始林」」と聞くと「ジャングル?」のようなイメージがあったのですが
昔より僧侶の方の修行の場として大切にされてきた場所、
今もなお残る春日大社の末社が点在していることもあり、登山道というのでしょうか?
まだ歩きやすい、、登りやすい?道を春日山原生林のガイドさんと一緒に散策いたしました。
まずは春日大社から入り、春日大社の歴史のことや、隣接する山々のお話を伺っていると、
今回使わせて頂いている木があった辺りを教えて頂くことができました。
樹齢が約50年ほどで、枯損木となったけれど切り倒すには難しい場所に根を下ろしていた杉の木。
ただ、、その写真を撮り損ねてしまいお伝え出来ずで申し訳ないです。
何をしに行ったんだ?と今反省しておりますが、
スタートからその場所を知れたことに密かに何だかとっても満足してしまった私です。笑
春日大社の敷地にもたくさんの植物や生き物がいて、
樹齢100年を超える木たちもたくさん生きています。
りっぱな木々たちには、どうしても圧巻です。
一番初めにこんにちは。と、出会ったオオセンチコガネ。
別名瑠璃コガネ。フンコロガシの仲間で土地によって色も変わるそう。
奈良は瑠璃色です。
春日大社の中の上のネギ道を抜け、どんどんと山の中へ!
専門の方に聞くお話しはとっても楽しく、そして知らない事ばかりの発見がありました。
知らなければ見過ごしてしまう植物や生き物たち、
教えて頂きながら進む道は、そこかしらに散りばめられた宝を探す
宝探しのような気持にさせてくれる、気持ちが豊かになる森でした。
この日は雨あがりな事もあり、恵の水で活動的になっていたのか
色々な植物や生き物に出会う事ができました。
※お写真苦手な方は申し訳ありません。
生え始めの赤い根っこが、水を求めてにょきにょき。
ただ、楽しい事だけではなく今、春日山原生林で起きている事。
自然の生態系が崩れてしまってきていて、
何100年かけて変化するであろうことが、ここ50年でガラリと変化している事も教えて頂きました。
一見、沢山の木々や植物が生きている「豊かな森」
だけどお話しを聞いていると、育つはずの場所に後継樹や幼樹と呼ばれる
次の世代の木々たちが育っていなかったり、
動物の採食や土壌流出などの原因で森が衰退してしまっている事。
もともとシイやカシなど、どんぐりがなる木々や
今回制作の材料として巡り合ったスギの木やモミの木、
シダ類やコケ類、ツル性植物など沢山の種類の植物がいるなか、
シダばかりが育っている場所。
知らなければ、何だか素敵な景色に見えますが
どうしてこの景色が出来てきたのか。
シダ以外の植物を鹿が食べてしまい、シダしか育たなくなってしまった場所。
お話しを聞いていると、全てが繋がっていて循環しているのだなぁ。と感じます。
良い事も、良くないと感じることも、全てが次のなにかに繋がっていて
これから、を作っていっている。
倒れた木に種が落ち、そこから芽が出て違う植物が育っていたり
樹齢100年をこえる本当に立派な木が倒れる事は寂しいけれど、
そのおかげで日陰になっていた場所に日が差し込むようになり、次の植物たちが育つ環境が整う事。
「なるほどなぁ。」と思う事ばかりです。
その場所を守る為、朽ちてしまったり倒れてしまった木は
そのまま森林の中で自然に返すようなのですが、
今回巡り合った木は本当に珍しく、春日大社の中にある杉の木。
これも何かのご縁なのかと思い、知って頂けるきっかけになれば!と
春日原始林の事、ご紹介させて頂きました。
ただ、まだまだお伝え出来ていない事や知らない事方が多いので
本日のご紹介はほんの一部です。
絶対危惧種を含む生き物たちが多く住む春日山原生林。
その場所と同じ様に、人も次の世代にその想いや歴史を繋いでいけるように。と
活動されているのが今回案内頂いた「春日大社原始林を未来へつなぐ会」の方。
「春日山原始林ガイドウォーク」など様々な活動を通して、原始林をご紹介しています。
詳しくはこちらをご覧ください→「春日大社原始林を未来へつなぐ会」
木の企画から、世界遺産のご紹介になるとは考えてもみなかったのですが
これもまた楽しく嬉しいご縁となりました。
ありがとうございました!
Ense kitano